こんにちは。サポネアンバサダーの高木です。
今回は、以前紹介した『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の作者が、エンパシーについて様々な角度から考察した、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の副読本または「大人の続編」と言える本を紹介します。
「他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ」 (ブレイディみかこ著、文藝春秋)
ブログ「僕の本棚」の初回で、エンパシー(他者の感情や経験などを理解する能力)の大切さを書きましたが、今回紹介する本の中で、作者は、エンパシーだけを強調することの危険性を指摘しています。エンパシーに長けている人は自分の意思をなくす恐れがあり、エンパシーは個人を組織に従属させるツールにもなるし、対立を悪化させたりすることがあるからです。
この本で作者が言いたいことは、自分の気持ちや考えを持ちながら、「他者の靴を履く」ということだと思います。
この本の中で印象に残っているのは、第2章の息子さんの学校でのエピソードと坂上香監督のドキュメンタリー映画『プリズン・サークル』の話、第11章の「ルーツ・オブ・エンパシー」プログラムのことです。
僕が坂上香監督を知ったのは、2011年11月、京都で開かれた、アートミーツケア学会「『こども』から考えるケアとアート―大震災を経て」に参加した時でした。
僕は、その時、高校生でした。アートミーツケア学会は鷲田清一先生が会長で、僕が参加している、とよなか国際交流センターの哲学カフェの進行役の先生が理事をされていて、アートとケアに興味があったので行きました。
坂上香監督は、DV、薬物依存、不登校等、様々な苦しみや生きづらさを抱えるコミュニティとの協働表現活動である「メディア4Youth」の活動について話されていました。様々な苦しみを抱える子どもたちが、1人1台のカメラを手にして、写真を撮って表現することで、自分の声を獲得し、社会と繋がり直していくという話でした。僕は、高校で写真部に所属して、人の写真を撮っていたので、写真の力を使って人が変わることを興味深く聴きました。
『プリズン・サークル』は、『ライファーズ 終身刑を超えて』(2004年)『トークバック 沈黙を破る女たち』(2013年)など、米国の受刑者を取材してきた坂上香監督が、初めて日本の刑務所で行われている「TC(Therapeutic Community=回復共同体)」というプログラムをカメラに収めたドキュメンタリー映画です。2020年1月に公開されましたが、新型コロナウィルスが心配でまだ観ていません。映画館では上映終了していますが、各地で自主上映会が行われていて、豊中でも、人権平和センター豊中で10月9日(土)に上映される予定です(主催:一般財団法人とよなか人権文化まちづくり協会)。
映画『プリズン・サークル』公式ホームページ (prison-circle.com)
僕は、これからも、自分の頭で考えて、いろんな人とともに生きていきたいと思います。