5年前の6月13日に、大腸がんの手術をした。そして、5年が経ち、ちょうど同じ6月13日に診察があった。検査結果に異常がなく、「もう大丈夫じゃないでしょうか。半年ごとの検査・診察を終了しましょう。」とのこと。万歳!
もちろん、5年経ってから、再発することが絶対ないわけではない。でも、5年以降では、それ以前より再発の率がぐっと下がるそうだ。
見つかったのが、5年前の5月で、その時点で、「5,6年は経っていますよ」と言われたので、術後5年は経ったものの、本当は、いつから数えるべきものかも、よくわからないが。
とにかく、術後5年経った。
「転移している可能性が高いので、転移しているかどうか検査をせずに、患部と一緒に取ります。」と言われたリンパ節に、「やはり転移していました。」と、術後、初めての診察のときに言われた。危なかった、というわけか。
手術前も、散々、死ぬ可能性を諭された。実際、医療ミスでの死亡事故などがあったであろうし、その可能性はないわけではない。「同意書」には、低い確率だが、死亡に至る場合もある。と明記してある。麻酔によって、中心静脈カテーテルによって、大腸がん手術によって。そのたびに、「同意書」にサインする。危なかったというわけか。
一緒に取り去ったとはいえ、他の部位に転移していたので、術後、抗がん剤治療を行なった。週に1回、2時間に渡る点滴を、半年間。これがつらかった。強い吐き気。最高1日10回吐いた。強い胃液で、のどがやられるほど。それに、パブロフの犬の実験で習った条件反射。病院に着いた途端に、吐き気がした。2時間の点滴の内の後半しか抗がん剤は、入ってないのに。半年過ぎて、抗がん剤治療が終了したとき、「よくがんばりました賞」の賞状をいただいた(看護師さんたちの苦痛緩和の工夫の賜物)が、吐き気のつらさで、対応ができなかった。
その後、1か月ごとの検査が、3か月ごとになり、半年ごとになり、5年経って終了した。検査のたびに、「今の所、なんともないですよ」と言われ、ホッとした。でも、いつでも再発の可能性はあったわけで、ヒヤヒヤでもあった。癌も、同じところにできるのかどうか知らないが、大腸だって、そうそう切って短くもできないだろうし、再発したら、覚悟した方がいいんだろう。
「可能性は低くなりましたが、がん検診は、受けてくださいね。」とのこと。胃がん、乳がん、子宮がん、大腸がん…。
医師に、「あのまま、手術をしなければ、今頃は、死んでたんでしょうか?」と聞こうと思っていたのに、最後の診察の時に、以前からの担当の医師は、いなかった。「転勤されました。」とのこと。事情は聞かなかったが、最後に、ちょっと拍子抜けしてしまった。医師にしてみれば、何百人の患者の内の一人にすぎないだろうが。
5年経った。一人で、そっと万歳!
久保秀美